美山町は、築150年以上の古い茅葺きの住宅群が残っており、重要伝統的構造物群保存地区に指定されているとのこと。
民族資料館などで実際に見学できるようになっています。
が、なんとそこに泊まれる、そして囲炉裏で料理ができる場所があるとのことで、毎年恒例となっている同窓会(?)は、ここ、美山町に決まりました。
(他に、禅寺の宿泊施設で座禅を組むという案もでるものの、却下。精進が足りない!)
チェックインまで時間があったため「茅葺きの里」を見学。 |
資料館に入る。上部の視線を切って開口を絞る方法はよくありますが、 空間自体の天井は高いが、茅葺屋根の軒先で視線を切る。 軒裏の茅がそのまま意匠になるのがいいですね。 FLから1400mm程度まで切られていますが、軒が深く出るため圧迫感は無い |
「FUTON&BREAKFAST」の本館に到着。
HPがあるにも関わらず私自身が事前にあまり調べていなかったせいなのですが、想像していたものより何倍も素晴らしくてビックリ。え、本当にここに泊まってイイの?
宿泊先の前に資料館を見学していたのですが、そちらはバリバリの農家。
牛小屋やたたきの土間に竈があり、トイレも板をくりぬいて下に落とすタイプで非常に興味深かったのですが、泊まるには結構ハード。「このままで、ひ弱な現代人が宿泊できるのか?」と若干心配もしましたが、杞憂でしたね。
トイレはウォッシュレット。ワークスペースの広い現代的なキッチンが備え付けられており、センスよくまとめられた調度品が気持ちいい。
光の絞られた伝統的な日本の建築空間を残しながら、陰気にならないような効果的なライティングがしてあり、特に外国人にウケが良さそうな気がします。
茶室があるところなどから、もともと裕福な方の家だったのではないでしょうか。
資料館と間取りは違っており、また資料館の方が話しているこの辺り一帯の間取りとも違っているようでした。はっきりとは分かりませんが…。どうなんでしょうか
宿泊先の茅葺き住宅。延床面積200㎡とのこと。もっと広いと思う |
エントランス部分。左手部分に階段や水廻りがある。 おそらく、もともとはそれら全部が土間で、竈があったのではないかと思う。 |
部屋と部屋がつながる続きの間や、床部分と土間部分の段差、二階床と急勾配の屋根のつくる狭くて魅力的な空間など、いまのハウスメーカーには無い空間がたくさんある。
そしてそれを本能的に察知してはしゃぎ回る子どもたち。
やはり一番素直に空間の楽しさ、気持ちよさを感じているようです。
オトナが気にする、使い勝手や動線、メンテナンスなどにとらわれず、気持いいかどうか?のみで判断するのが子どもです。
いやもちろん、使い勝手も大事ですよー。でもそれ以外も大事なんです!
エントランスから手前が前室、畳の部屋。左に見えるのが囲炉裏部屋。 囲炉裏から縁側を通って茶室に入る。茶室と畳の部屋も、続きの間でつながる。 土間と床とは、段差、仕上材によって空間として強く仕切られている。 子供はその境界を超えながら回遊することをとても好んでいる様子。 跳んだり走ったり、普段家のなかで出来ないことをしております |
スケール感や光量、段差による仕切り…など、かなりの部分が自分の設計と似ているに気付く。
しかし私の設計する家とこの茅葺き住宅は、表面的なカタチや素材がぜんぜん違っているのです。
そりゃあ、だれがみたって違う。違うのにその根っこの部分「人が居る場所、仕切り、居心地」の部分が似ているのが不思議でしかたない。
その根っこの部分が「和」なのかなー。
ここを伝えるのがムズカシイんだよなー。表面のデザインは簡単に伝わるんだけど。
そうして、建築模型をつくって覗きこんで、入ってくる光から空間を想像しながら、ウンウン唸っておるのです。そういう仕事のようです。
こどもたちはおにぎり。いつもよりモリモリ食べます。 |
オトナは囲炉裏。今回は猪鍋です。 |
隣の土蔵に向かうアプローチと、左手に鳥小屋。 烏骨鶏が一匹いました。 |
土蔵。 秘蔵というかんじです。 |
土蔵の中には水琴窟がある。 ここは本当に暗い空間で、扉を閉めると真っ暗でしょう。 子供が悪いことをすると、ここに閉じ込めるのでしょう。 いまの家にはなくなってしまった「陰」の場所です。 |
囲炉裏を囲んでみんなで朝食。 息子がオタマトーンを奏でております。 そのあとはもちろん、子どもたちによる奪い合いです。 |
子どもたちが終始たのしそうでした。 |
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